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俺の名は良司。










俺の名は良司。勇者ロトの末裔、ローレシア王国の王子。



龍の角と呼ばれる塔から向こう岸に渡るべく、風のマントを探しに行くところだ。


なんでも東の海岸近くに建ってる塔にあるという話だが…
とりあえず行ってみるしかあるまい。


そんな都合のいい話を普通信じないと思うんだけどね普通。



トンヌラ「風のマントかぁ こう軽そうな雰囲気だよねぇ」


お前の頭よりは重いだろうよ。


サマンサ「もう誰かに先に盗まれてたりしてるんじゃないの?」


女は現実的だ。



海岸沿いを歩くと塔へとたどり着いた。

潮風にやられて大分傷んでるようだ。…船虫出てきたら泣くぞ。


まぁ これまでにでかいムカデとか相手にしてきてはいるが、
小さくて足の多い虫がぞろぞろと移動する姿だけは勘弁してほしい。


俺に呪文が使えたら片っ端から焼いてやるところだ。


塔に足を踏み入れ、上を目指す。


しばらく上へ上がると外壁をつたわらないといけない場所に出た。

危険だが眺めは凄い。

先へ進む前に、しばらく景色を眺めていた。


サマンサ「風が気持ちいいわね…」


サマンサが良くある台詞を吐きながら髪をあげる。

実にぐっと来るシーンだ。


トンヌラ「良司〜 凄いよ!街があんなに小さいぜ!?」


お前は落ちていいよ。




気を取り直して先に進むと一人の兵士に出会った。


兵士「落ちないように注意しろよ?」


言われなくても解ってるが、それよりお前はこんなところで何をしているのかが知りたい。



俺達でさえ苦労するこの魔物の数。

たった一人で呑気に景色なんぞ眺めている。

トンヌラの代わりにこいつ仲間にしたいなぁ。



トンヌラ「…またなんかよからぬ事を考えてない…?」


う 視線を合わせてもいないのに感づきやがった。


サマンサ「セクハラだけでなく悪巧みかしら?」


こいつはこいつで相変わらず印象はセクハラ野郎のままか。
散々かばったのにクソ。



そんなこんなで上がったり下がったりを繰り返し進むうちに小部屋へと到達。


そこには…


「…! こいつか!? 風のマントは!!」


サマンサ「魔法アイテムね。精霊が宿ってるのがわかるわ」


魔法に精通してるだけあって人目でどんなものかわかるらしい。

ホイミも唱えられない俺にはさっぱりだ。


トンヌラ「凄い軽いよぉ! ほら僕の言ったとおりだろ!?」


お前 もう黙れ。




「とりあえず目的の物は無事に手に入れたか…」


サマンサ「また街で一泊して向かう感じかしら?」


トンヌラ「そうだね、向かって無理して野宿することも無いと思うし」



のらりくらりしてていいのかしらんが、満場一致でもう一泊決定。


明日を側きりにあの親父ともしばらく会うこともなくなるんだろうか…



「あの店の料理と風呂に入るのもしばらくお預けかな…」


トンヌラ「愛着湧いちゃったよねぇ…」


サマンサ「しょうがないわよ、まだまだ先は長いのだし。それに良司」


「?」


呼びかけられ振り向く。





サマンサ「今度も犬呼ばわりしようとしたら殺すわよ?」








はい。

 

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