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俺の名は良司。










俺の名は良司。勇者ロトの末裔、ローレシアの王子。


ハーゴン討伐の旅にたった一人で城を放り出されて数日。

サマルトリアの王子トンヌラを相棒にしてムーンペタの街までやってきた。


一泊し、落城したムーンブルクへと向かう。

話に聞いていた美しいはずの城は見るも無残な姿になっていた。


壊されてもはや用を成していない城門をくぐり、荒れ果てた城内に足を進める。

彫刻は崩され、絵画は焼け落ち、兵士の亡骸が横たわっている。


「…ロトの血を受け継ぐ者の城がこうも魔物に好きにやられるとは…」

トンヌラ「もしかすればうちかローレシアがこうなっていたかもしれないですね…」



…息子に銅の剣を持たせたり、こんぼう持たせたりする王のいる国だものな…

きっと歯向かえもせずにズタボロだろう。


こうしている間に侵攻を受けているかもしれない。

親父はともかく民のことが気にかかる。


…そしてまた一歩奥へと足を進めた。


すると…


トンヌラ「良司!あれは!」

「む!?」


ボゥっと光る何かが横切った。

…落城の際にかけられた火の残りか・・・?


確かめるべく奥へと進むと、なんと光が人の形に姿を変え語りかけてきた。



「わしはムーンブルク王の魂じゃ」



…「魂じゃ」ってあーた…

死んでることも自覚してる上に自己紹介の余裕有りか。

色んな意味で驚いたぜこんちくしょう。


こちらの驚き等お構い無しにムーンブルクの王の魂は続けた。


「我が娘サマンサは呪をかけられ犬にされたという…
 おお…口惜しや…」


…死んだくせになんでそんなこと知ってんだ…

死んだ奴等で語り合いでもしてるんだろうか。

とりあえずまともな名前をつけた辺りはサマルトリアの王よりマシっぽいが。


ムーンブルクの王の魂はそれ以上の事は語らず、
俺達も他を散策するべくその場を離れた。


すると、他にも死んでも死にきれずにこの世に残っている者達の話が聞けた。


まず、


「ハーゴンの軍勢が責めてきたぞ!助けてくれぇ!!」


兵士だったら腰抜けの魂発見。


「ここより東に行った沼地の中にラーの鏡があるという…
 それを誰かに伝えるまで私は死んでも死にきれぬのだ…」


誰かに伝えることが出来たのに成仏しない魂発見。



そして地下へ行くと…


まだ生きている兵士を発見!…しかしかなりの重症だ…

ここまで良く持っていたものだが、もう回復魔法も間に合わないだろう…


死に間際に王女の護衛であったこと、
王女がハーゴンの呪いにより犬に変えられたこと、
そしてその呪いを解くにはラーの鏡が必要であることを俺達に伝えると息絶えた。


ラーの鏡… さっきの魂もそんな事言っていたな。


つーかなんで殺さずに犬なのだろう。

しかもなんで呪いを解く方法を知ってるんだろう。

もひとつなんでそんな物が埋まったままなのも知っているんだろう。


ただでさえ納得できない旅にまた納得できない謎が増えた。


あからさまに疑問が顔に出ていたと思うのに、トンヌラは構いもせず


「良司!早速沼地に鏡を探しに行きましょう!」


とか、普段ゆるい顔を引き締めて張り切り始めた。


お前一人でいけよ。




とりあえず次の目的地は沼地か…



これで王女がブスだったら泣くぞ…

 

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