俺の名は良司。
俺の名は良司。勇者ロトの末裔。
相棒のトンヌラと共に、犬にされたというムーンブルクの王女の呪いを解く為に必要なラーの鏡を探しに出たところだ。
しばらく歩くとトンヌラが前方を指差し言った。
「良司、あそこの毒の沼地のことかな?」
見ると、川沿いに狭い範囲ではあるが沼地が見えた。
あそこの事だろうか?なんにせよ探してみるほかは無い。
しかし毒の沼地という名前だけあって、ただのどぶさらいとは違う。
これでここじゃなかったらあの兵士の魂を掴まえて因縁つける他はない。
お前もうちょっと正確に場所教えとけよと。
とりあえず沼地に浸かり、痛みをこらえながら手探り探し始める。
…ホントこんな所に埋まってるって誰が知ったんだよ…
もしかしてあの兵士がこの沼地に捨てたんじゃなかろうか。
いや、そうに決まってる。そうでないと説明がつかない。
中々見つからないストレスも手伝い、負の方向に脳は勢いよく回転を始める。
どぶをさらいながら俺が立てた「ラーの鏡毒の沼地埋没説」はこうだ。
あの兵士は生活が苦しく、出来心でムーンブルク城の宝物庫に安置されていた
ラーの鏡を盗んでしまったのだ。
しかし売り払う勇気が持てず、返しに行くわけにもいかなくなり、
結果毒の沼地に放り込んだ。
そして肉体は滅んだが、慙愧の念は残り俺達にその事を伝えた。
おお 筋がピッタリ合うではないか。
きっとそうだ。
あの兵士盗人だったのか。
…とその時…
「ん?」
トンヌラ「どうしたんだい?」
泥の感触の向こうになにかつややかな金属的な感触をあった。
手を伸ばし、掴み上げてみると…
トンヌラ「! それだよ!ラーの鏡! やったね!良司!これで王女を元に戻せるよ!」
トンヌラが喜びの声を上げた。
俺もとりあえずどぶさらいを終らすことが出来て嬉しい。
「しかし…犬といってもなぁ… 何処に居る犬なのやら…」
トンヌラ「昨日 やたら懐いてきた犬だったりしてね」
「だとしたら昨日の事、かなりのセクハラになっちゃうなぁw」
トンヌラ「裸の付き合いもしちゃったしねぇw」
二人でケラケラ笑いつつ、街へと足を向ける。
すっかり日も落ちている。明るいうちに見つけられて良かった。
まずは泥を落とし一度体を休めよう。
あの犬がまた来たらついでに相手もしてやろう。
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