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前略、姉上様。











マルスです。グルニア黒騎士団を打ち破り、カシミア海峡を越えることが出来ました。
最強を誇った黒騎士団も昔ほどの力は無くしていたようです。

これもドルーアに加担したことにより、グルニアも内部から壊れ始めているからではないでしょうか。


私にはそう思えてなりません。


間もなくラーマン神殿、聖なるこの地で争いを起こすことがはばかれますが、オーブを手に入れなければガーネフを打ち砕くこともかないません。


話に聞く女神の事もあります、信頼の置ける仲間を選び、隙のない編成で挑む所存です。




女神と星と光のオーブ…


果たして…




マルス「というわけで神殿に着いたねオグマ」


オグマ「ええ、流石に漂っている空気が違いますな。気のせいか現実感が薄れます」


マルス「造りのせいかな、過去に戻ったような気がするよ。女神の話も噂だけじゃないかもしれない」


アベル「精鋭のみで参りましょう。して王子、出撃はだれだれに?」


カシム「精鋭って言ったら王子とバーツさんしかいなくなるんじゃ…」


シーダ「(ビンタ)」


カシム「ぐわっ!?」


マルス「そうだね…やっぱり…」



考え込んでると、ちらっろカインがこっちを見ていることに気づいた。どうやらまだ諦めてないらしい。

ちなみにナバールはすっかりジャガイモの皮むきが上手くなっている。



マルス「やっぱり鍵開けにジュリアンは欠かせない、ジェイクはそろそろ残弾が本気で無くなりそうだし、待機だね。後は実力から選べばバーツにシーザ、レナ、マリク、シーダ、ゴードン、マリアにアベル…」


オグマ「はっはっは、今日の王子は意地が悪いですなぁ。なかなか私の名前が出てこない。この勇者オグマの名が!」



うぜえ…


しかし正直多少パワーアップしたので、今んとこ使わないわけにもいかない。



マルス「…オグマにあとカシムかな…」



無難なとこで出撃メンバーを終わらせようとしたその時、



バヌトゥ「待ったじゃあ!!!」



なんか爺様が勢い良く出てきた。



マルス「なんだいバヌトゥ?将棋の事なら僕に言われても…」


バヌトゥ「違うわ!出撃メンバーの事じゃい!」


マルス「?何か問題でも?」


バヌトゥ「実は噂の女神…もしかしたらと思うところがあるのじゃよ。ここはワシも加えてもらえんじゃろうか。悪い方向には転ばせん」



ただでさえ少ない面子に使えない老人が入るだけで痛いのだが。
しかし今までこんなこと言い出さなかったし、ホントに何かあるかもしれない。



マルス「わかった。なら魔道士三人の誰か…マリク、今回は休んでくれ」


マリク「ういーっす。飛行ユニット居ないしその方が〜」



お前この戦い快楽の為だけにやってないか?


というわけで以上の11人と僕で出撃。



オグマ「王子は今回役どころ上宝箱の回収でしょう!前線はこの私にお任せ下さい!この勇者オグマに!」



…不安だ…




〜〜 神殿 奥の間 〜〜



ガーネフ「チキよ…遥か昔、滅び去った偉大なる神竜族の王女よ。わしの言っていることが聞こえるか?」

チキ「…コクリ」

ガーネフ「この神聖なるラーマンを侵そうとする者がおる。そやつらをお前の力で焼きつくすのだ。わかるな?」

チキ「…ラーマンを…おかすもの…やきつくす…」

ガーネフ「バヌトゥからはぐれたそなたをメディウスより救い出してやった恩…決して忘れるでないぞ」

チキ「…恩…わすれない……おかすもの…やきつくす…」



〜〜 再び解放軍 〜〜



というわけで今日も元気良く進軍である。


前線はバーツとシーザ…それと一応オグマに任せて僕はジュリアンと一緒に宝箱の回収へ。


部屋が奥の間へ向かって二つ並んでいくつかあり、扉を開けては中を確認し、奥へと行ってまた開けた。

たまに敵が潜んでいるのを見つければ、シーダが飛び込んで倒していった。

僕は今回完全に宝箱回収係りである。


あぁ…こんな日が来るなんて…


中央の通りはちょっとおかしな攻撃力の斧戦士が無双を誇っている。

傭兵や勇者がバーツに挑んでは次々と殺された。もう反則だなこの人。


宝を奪い逃げようとする盗賊もオグマとシーザに殺され、奥に居る魔道士も聖水をかぶったゴードンに、部屋の中からロングボウの的にされた。



あっという間に玉座周辺である。


あれあれ?なんだか今回は調子が良すぎるぞ!?



マルス「…楽勝じゃないか今日は」


オグマ「勇者となった私が居ますからな…」



断じてお前のおかげではない。



シーダ「マルス様、オーブの方は見つかったのでしょうか?」


マルス「ああ、さっき大地のオーブと星のオーブを宝箱から。倒した盗賊から光のオーブを見つけたとシーザが届けてくれて、回収は無事済んだよ」


ジュリアン「てことは目的は果たしたわけか…例の女神ってのは、やっぱガセか?」


マルス「いや…まだ玉座の敵を確認していない、油断は…」


バーツ「王子!」



バーツが血相を変えて走ってきた。
先方で玉座を見てきてもらったところである。



マルス「どうしたの?何か大変なことでも?」


バーツ「そ…それが…見に行ってみたらですね…」


マルス「噂の女神がホントに居たとか?」


バーツ「い…いえ…女の子です…小さな女の子が一人…」


マルス「女の子!?」



…神かどうかはともかく女性ではあるな…


しかしなんでこんなところに…いや、こんな所にいるという事は、普通の人間ではないという事だろう。



バヌトゥ「迂闊に近づくでないぞ」


マルス「バヌトゥ?」


バヌトゥ「見た目は小さな童女じゃが、人間よりもずっと長く生きておる神竜の子じゃ。こんなところにいようとは…恐らくはガーネフが…」


マルス「それじゃあ、バヌトゥが探していたチキって…」


バヌトゥ「うむ。マルス王子よ、ワシが行こう、他の者には手を出さないように伝えていただきたい。チキが人を殺してもいかんし、腕のあるものにチキが殺されてもかなわんからのぉ」


マルス「うん、頼んだよバヌトゥ。生きている時間がどうあれ幼い女の子を殺めるわけにはいかないしね…」


バーツ「…(うっかり攻撃しなくて良かった)」



玉座まで行くと、確かに小さな女子が一人。
なんだか視点が定まっていない。正気ではないようだ。



バヌトゥ「おお! チキよ。探しておったぞ」

チキ「だめ…わたしに…近よらないで…」

バヌトゥ「…ガーネフに催眠術をかけられておるのじゃな。可哀想に…それ、目を覚ますのじゃ」



目を覚ますのじゃ、って言われて解けるようなものなのかガーネフの術って。



チキ「…うーん……あっ! おじいちゃま…どうして…なにがあったの?」



あっさり解けたー!?

実は凄いんじゃないのかバヌトゥ。


バヌトゥ「おお、気がついたか。良かった。大丈夫かの?」

チキ「うん…わたし、なんか…こわい…ずっとこわい夢を見ていたみたい…」

バヌトゥ「すまなかったのう…お前をこんな目にあわせてしまって…だが、もう心配ないぞ。これからはずっと側におるからの」

チキ「うん。約束よ、おじいちゃま。ひとりぼっちはもう絶対イヤだからね…」



というわけで一件落着のご様子。これで我が軍は老人から幼女までカバーした。

チキとバヌトゥが話してる間、少し離れ、手に入れた宝物の管理と撤収の準備の指揮をする事に。


しばらくすると、チキが走って僕の方に寄ってきた。
ちょこちょこと走るその見た目はまんま幼女である。



マルス「大丈夫かい?君がチキだね。バヌトゥから聞いて…」


チキ「うん。わたしもおじいちゃまからちゃんと聞いたの。わたしもいっしょにいていいんでしょ?」


マルス「ああ、もちろん。僕達は一緒だ」

チキ「うれしい!ありがとう!マルスのおにいちゃん!」

マルス「お、おにいちゃん?」

チキ「うん おにいちゃんって呼んじゃだめ?」

マルス「あ、いや。そう呼びたいならかまわないけど」

チキ「ありがとう!マルスのおにいちゃん!」

マルス「うーん…」



その後もしばらくチキは僕にピッタリとくっついて回った。なんだかその道の人なら鼻血を出して喜びそうな状況である。



マリア「コラコラ、あんまりくっついてるとマルス様にご迷惑よ?」


チキ「おにいちゃん?迷惑?」


マルス「いや、今は別に構わないよ」


チキ「やった〜!! …(マリアを見て) ふふん」


マリア「…(このガキャ〜…)」



というわけで攻略である。


なんだかホントに簡単に済んでしまった。



ニーナ「マルス、首尾はどうでした?光と星のオーブは見つかりましたか?」

マルス「ご安心下さい。手に入れました。これをガトー様のところへお届けすればマフーは封じられる…ですが、その前にやることがあります」


ニーナ「それは?」

マルス「グルニアとの決戦です。このままマケドニア、ドルーアへ向かえば、背後を突かれる恐れがあります。相次ぐ敗戦で力が衰えているとはいえ放ってはおけません」


ニーナ「…グルニアへ攻め込むのですね」

マルス「はい。次は間違いなく敵もカミュ将軍を出してくるでしょう。大陸最強を謳われる『ブラックナイツ・カミュ』が相手ですから、より厳しい戦いになるでしょうが避けては通れません」


ニーナ「どうしても戦わねばなりませんか?」

マルス「このままにしておけばいずれグルニアは力を取り戻し我等の前に立ちはだかります。叩くなら先の戦いの痛手が残っている今しかないのです」

ニーナ「そうですか、わかりました…では、その前に少しお時間をいただけませんか?」

マルス「私の、ですか?それは、かまいませんが…」

ニーナ「マルスに知っておいてほしい話があるのです。でも、今は駄目…心の整理をしてからお話します」



以前からグルニアが、いやカミュ将軍が関すると様子がおかしかった。

その理由が分かる時が来たようだ。



マリク「あ 終わりました?次はグルニアですね〜!黒騎士団はともかくカミュ将軍なら撃ち応えありそうですよ!エクスゥカリバー!!ってね!ははー!」



グラディウスの槍に突き刺されてくれないかな、こいつ。




 

 

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