というわけでグルニアへやって来ました。
どうして遠征に王子である僕自ら出てきたのかが謎ですが、キッチリお仕事をこなしてみようと思います。
マルス「みんなちゃんとついて来てるね?体制を整えたら、すぐに鎮圧へ当たる」
リョウジ「はっ、全騎遅れはありません。…アラン殿だけ若干顔色悪そうですが…」
マルス「…彼は病気がちみたいだからね…
前の戦いの時は村に引き篭もったままだったのも、その辺が理由かもしれない…」
彼はサムソンを仲間にした関係で、前の大戦では共に戦えなかった。
終わったあと、何故かちゃっかりアリティア軍入りしているが、村の人達は文句言わなかったんだろうか。
リョウジ「戦いで命を落とす前に病で倒れそうな雰囲気ですね…」
マルス「うん…とにかく今回の遠征、アランもそうだけど、みんなに何事もなく済んで欲しいよ…
君も仲間達も出来れば誰も死なずに戦いが終われば良い…」
リョウジ「マルス様…」
その為に恐らく僕と君が前線で死にそうになるんだろうけど。
さて、そろそろ現場だ。
戦闘準備を…
ジェイガン「マルス様、占領軍の司令官ラング将軍がお見えです」
マルス「ん?」
ラング「おお、これはマルス殿。今頃おいでとは呑気なことですな」
来ていきなり嫌味を言いやがった。
なんだこのハゲは。
ラング「まあ折角だから反乱軍のリーダー、ロレンス将軍の始末は貴公にお任せしよう」
マルス「え!?反乱軍を率いているのはロレンス将軍なのですか!?なぜ彼が反乱などを…」
ラング「さあな…わしはそんな事は知らん。
マルス殿、ロレンスを殺し奴がかくまっているグルニア王家の子供たちを捕らえよ。
我らはその間に反乱に参加した者共の家族を皆殺しにし、村を焼き払う」
マルス「馬鹿な!!何もそこまでしなくとも…」
ラング「ば、バカとはなんだ!貴公はわしの命令に従って働けばよいのだ!
それともアリティアもまた我がアカネイアに逆らって反乱でも起こすというのか!」
マルス「まさか!そんなことは…」
ラング「マルス殿、のぼせ上がっては困る。
我が帝国の力を以てすれば、おぬしなどいつでも叩き潰せることを忘れるな!」
ハゲのラングは非道を散々言うだけ言ってどっかに帰って行った。
リョウジ「(剣を抜き放ち、ラングを追う)」
ルーク「ストップ!ストーップ!!気持ちは分かるが落ち着け!!(リョウジを押さえる)」
リョウジ「離せ!あのハゲ〜…!マルス様に向かってよくも!!」
お怒りの超戦士。
というか全員、正直腸が煮えくり返ってるご様子。
なんなんだ、あの絵に描いたような悪人は…
マルス「…ジェイガン。これは一体どういう事だ。ハーディンはあんな男にこの国を任せたのか…」
ジェイガン「王子、お気持はわかります。ですがロレンスの反乱は事実。まずは彼を何とかせねばなりません。
王子ご自身がロレンス将軍と話をされてみては如何ですか」
マルス「…う…ん」
ジェイガン「わしは王子のお側にあって軍師を務めさせていただきましょう。
近衛騎士リョウジよ!戦場でマルス様が危機にある時はそなたがお守りするのだ。頼んだぞ」
リョウジ「はっ!」
というわけで進軍である。
なにやら反乱に乗じてならず者が多く徘徊してるようである。
銀の斧を持った蛮族と、銀の弓を持ったハンターがやる気満々でこちらを見ている。
我々アリティア正規軍より、豪華な装備。どうなってんの。
マルス「…下手に手を出すとすぐ死ぬね…」
リョウジ「いつも通り引き寄せて叩くしかないですね」
マルス「そうだね、じゃ リョウジ、僕は右寄りで敵を引き付けるから」
リョウジ「俺は左ですね」
もう大体役割は決まってまいりました。
こうして全体的に左寄りに布陣。
僕とリョウジの他に、アランとロディも引き寄せ役に。
蛮族が銀の斧を振り回しながら、実に嫌な顔で襲い掛かってくる。
リョウジ「こいやー!!」
僕等の超戦士がやる気満々で迎え撃つが、流石にダメージは半端無い。
確実に反撃でダメージを当てるが、正直これは長時間もたないぞ。
すぐにセシルとルーク、ライアンが飛び出し、蛮族にトドメ。
盗賊が洞窟から出てくるが、ゴードンで削りつつ、僕が追ってトドメを刺した。
そのまま前線4人は傷薬で回復し、また村近くの蛮族を引き寄せる。
いちいち一発が痛いが、しょうがなく耐えて反撃で撃破。
マルス「とりあえず一通り撃破だね」
リョウジ「後は城周りだけです、マルス様突入のご命令を」
マルス「急に飛び込むのは危険だよ、リョウジ。
とりあえず村へ行って来るから、とりあえずみんなはあの洞窟でも調べてみてくれ」
リョウジ「はっ!了解です!」
そんなわけで僕は村へ訪問。
村人は反乱鎮圧に来た筈の、帝国軍に散々略奪されたらしく、僕を見て怯えきっている。
ホント、何しに来たんだあのハゲ…
お婆さん「おお この子だけはお許しください…まだ10歳になったばかり…」
マルス「おばあさん安心してください。その子を奪いに来たわけではありません」
お婆さん「え…?お前様は帝国の人では…?」
マルス「いえ…違います。僕たちは戦う為に来たのではありません。
何か必要なものがあれば言って下さい。食べ物の少しですが置いていきます」
マリーシア「待って…お願い…私も連れていって」
マルス「え…君ほんとに10歳?」
マリーシア「ホントはもう大人なの…帝国から隠れるためにおばあちゃまが嘘を言ったの…」
無理がありすぎる…
10歳はないだろ…どう見ても…
マリーシア「ラングの兵士は獣のような男ばかり。でもあなたは違う。とても優しい目をしているもの。
ね、お願い。私をこの国から連れ出してあなたの国に連れて行ってほしいの」
マルス「いや…連れて言ってと言われても…犬猫じゃあるまいし…」
お婆さん「お若い方、わしからもお願いする。この娘を守ってやってくださらんか。
もし、お前様が望むなら嫁にやってもよいぞ」
マルス「いや、僕には既に婚約者がいまして…」
お婆さん「この子は、わしに似て美人で気だてもよい。きっと、よい嫁になるぞ」
マルス「いえ、ですから…」
マリーシア「やだー、おばーちゃんたらまだ早すぎるよー。マリーシア困っちゃーう!」
困ってるのは僕なわけだが。
とりあえず、話を聞かないところはお婆さんと似てるのは間違いない。
しかし、盛り上がってるところ悪いが、一般人を連れて歩く訳には…
マリーシア「ね?いいでしょ?マリーシア、レナさんのところで勉強頑張ったから役にだって立つよ!」
マルス「え!?君はレナを知ってるの!?」
マリーシア「うん、杖だってちゃんと使えるんだから!」
うーん それなら回復役の居ない今の我が軍には有りがたい。
性格はともかく、連れて行って損はない。
そんなわけで、マリーシアを連れて行くことに。
早速本隊に合流、怪我をしている仲間の傷を癒して貰った。
洞窟には金塊があったらしい。恐らくはさっき倒した盗賊が貯め込んでいたのだろう。
持ち主が誰だかわからないので、ありがたく軍事費用として使わせて貰う事にした。ごめん。
リョウジ「マルス様、民家を回ってみたのですが、あのハゲ…いやラング将軍の評判はろくでもない事ばかりですよ」
ロディ「ええ、あのハゲ…いや、ラング将軍率いる帝国軍が若い女を攫って行ったとか、
略奪の限りを尽くしていったようです」
マルス「うーむ…やはりあのハ…いや、ラングめ…とてもハーディンが遣わしたとは思えない…」
ゴードン「それが…グルニア国王には二人の子供がいたそうです」
マルス「二人の子供?」
ゴードン「ええ、男の子と女の子の双子らしいですが…なんでも皇帝がその子供達を引き渡すように
ロレンス将軍に命じたらしいのですが、将軍は二人の命を危うく思ってそれを拒否したとか…」
マルス「ハーディンがその子達を?どうしてわざわざ…」
ゴードン「それはわかりませんが…そしてロレンス将軍は追放され、代わりにハゲ…
いや、ラングが派遣されたらしいです…」
リョウジ「そして非道の限りか…野郎…」
君が正義に燃えてるとなんだか不自然に思えるのは僕だけでしょうか。
マルス「どうなってるんだ…何を考えてるんだハーディン…」
狼騎士団全員で、ソシアルナイト一騎に苦戦してたくせに…
皇帝になって何か勘違いしちゃったんだろうか…
とにかくロレンス将軍と話してみないと…
マルス「よし!全軍、城へ突入!ならず者達を蹴散らし、ロレンス将軍にお会いしよう!」
リョウジ「はっ!」
〜一方〜
ロレンス「もはや。ここまでだな…オグマ殿、貴公まで巻き込んでしまって申し訳ない」
オグマ「俺はタリス王から将軍の手助けをするように言われてここに来ている。俺に出来る事ならなんなりと言ってくれ」
ロレンス「そうか…ならば頼む。この子供達をマケドニアに送り届けてほしい。この子達…ユベロ王子とユミナ王女は
グルニア王の忘れ形見。頼む。この子達をマケドニアのウェンデル司祭の下へ届けてくれぬか」
オグマ「わかった…お二人は俺が命にかえてもお守りしよう…守れれば」
ロレンス「…そうか、不安だが頼む…さあ、ユベロ王子、ユミナ王女、あなた達はオグマ殿と共に脱出するのです」
ユミナ「いや!私は行かないわ!逃げるのならロレンスも一緒よ!」
ロレンス「ユミナ姫…残念だが私は逃げられぬ。傷ついたこの体ではもはや歩く事さえままならぬのだ。
だから私の事は気にせずお二人だけで逃げられよ」
ユミナ「私達を守るためにそんなにひどいケガをしたのに…どうしてあなただけをおいて逃げられると言うの!!
私は、絶対行かない。ロレンスのそばを離れないわ!!」
オグマ「どうするのだ、将軍?」
ロレンス「うむ…困った。ユミナ様は一度言われたらきかぬ方…」
オグマ「ならば、俺は俺の出来ることで力になろう。ラングを探し出して奴を殺る…俺のこの剣で奴を葬ってやろう」
ロレンス「え」
オグマ「…」
ロレンス「…」
オグマ「ロレンス将軍、それまでは何とか持ちこたえてくれ!…死ぬなよ!!」
ロレンス「(色々諦めよう…)」
〜再び本隊〜
マルス「蛮族がうろつきまくってるね」
リョウジ「ロレンス将軍は無事でしょうか?」
マルス「それを確かめる為にも早く蹴散らしてしまおう」
リョウジ「はっ!」
いよいよ城攻略。
とは言ってもやる事はいつもと同じである。
リョウジと僕で引きつけつつ後退し、広いところで順次倒していくのみ。
マリーシアが入ったので、回復は楽になった。
マリーシア「さ、マルス様!愛の回復魔法ですよ〜☆」
婚礼間近なのに、不倫疑惑とか広まるとまずいんで止めて下さい。
まぁそんなわけで蛮族達を全て撃破。
ロレンス将軍と会話するだけとなった。
リョウジ「マルス様、お供いたします」
マルス「ありがとうリョウジ、ロレンス将軍の無事が気になる急ごう」
リョウジと共に城へと突入すると、門番のように城を守っている影が一つ。
ロレンス将軍である。大分怪我を負っている様だが…固い意志が目から読み取れる。
剣を構えて、僕の前に出たリョウジを押さえて、ゆっくりと将軍へと近付いた。
ロレンス「マルス殿!おぬしなのか…残念だ、アリティア軍と…王子と戦わねばならぬとは…」
マルス「待って下さい。僕はあなたと戦うつもりはありません。
村人達から、占領軍がいかにひどい仕打ちをしているかを聞き驚いています。
僕は、この事実をハーディン皇帝に伝え必ずグルニアを救うとお約束します。だから、どうか剣を収めて下さい」
ロレンス「王子…ご好意は、感謝する。だが、それは無理だ。王子は何もご存じない。
ハーディンほどの男が訳もなくラングのようなくだらぬ男を司令官にするとお思いか?
彼は我らの反乱を誘ってグルニア王国を完全に潰し帝国の領地にするつもりなのだ」
マルス「まさか!?ハーディンがそんなことをするとはとても信じられない!」
そんな事出来るとも思ってなかったし。
ロレンス「すぐには信じられぬだろう。だが彼は皇帝となってから人が変わってしまった。
もう、王子の知っているあのハーディンではないのだ」
やはり皇帝になってから調子に乗っちゃったのか…?
ちなみに僕の知っているハーディンは、前の戦争で一度も出番のなかったターバン男です。
ロレンス「王子、最後に一つだけ頼みがある。この砦には、グルニア王家の幼い王子と王女がかくまわれている。
どうかこの子達を助けてほしい。それさえ聞き届けてくれるなら私は、もう思い残すことはない」
ロレンス将軍はそういうと、下ろしていた槍を静かに構えた。
マルス「!?ロレンス殿、何を…!?」
リョウジ「!!?(マルスの前に出る)」
ロレンス「マルス殿…どうか私の命と引き換えにこの子達を…どうか…頼む…」
そして自らへ向けて取り直すと、止める間もなく…己の身体へと突き立てた。
マルス「ロレンス将軍!!……馬鹿な……」
リョウジ「…なんという…」
ロレンス将軍の亡骸を前に、僕達は言葉を失って立ち尽くした。
ジェイガンが追いついて中へ入って来た音で、ハッと我に返る。
王女達は…?
ユベロ「うっうっ…」
マルス「君達が、グルニアの…ユベロ王子とユミナ王女!?」
ユベロ「うっうっ…ロレンス・・・死んじゃった。僕達はどうすればいいの…」
ユミナ「ケダモノ!!近よらないで!それ以上近よれば私達も死にます!!」
マルス「違うんだ!僕達は…!」
ラング「ほお…マルス殿。やっと反逆者どもを捕らえたのですな」
マルス「ラング将軍! 待ってくれ。この子達には罪はない。僕に任せてくれないか」
ラング「そうはいかぬな。捕虜どもはわしの城へ連れて行く。
それより王子、貴公にはマケドニアへ行ってもらわねばならぬ。
マケドニアで軍の反乱が起きてミネルバ王女が囚われたらしい」
なにー!?ここに来てマケドニアまでクーデター!?
タイミング的に作為を感じるぞ!
どうなってんだ一体!?
マルス「なに…!?マケドニアが!!わかった、ラング将軍。だが、その子供達は…僕に預からせてくれ、頼む」
ラング「くどいぞ王子!さあ、お前達!こちらへ来い!」
ユミナ「いや、離して!!ユベロ…助けて…!!
ユベロ「ユミナ…ユミナ…」
マルス「ま、待て!!ラング!その子達を離せ!」
リョウジ「あのくそハゲ野郎!マルス様、ご命令下さい!俺が二人を取り戻します!」
リョウジがダンビラをハゲに向かって突きつけ、口汚く罵った。
僕がゴーと言えば、遠慮なくハゲの首が飛ぶだろう。
ジェイガン「王子、落ち着いてください!!リョウジ、そなたも落ち着くのだ。
今ここでラングと争えば我らもアカネイアに背く反逆者になるのだぞ」
リョウジ「ぬぐぐ…!!」
マルス「だけどジェイガンあの子達をラングに渡していいのか!僕にはそんなこと…」
ジェイガン「今は…とにかく今は我慢して下さい!!マケドニアに行けば…
ミネルバ王女が無事に救出できれば、マケドニアは我らに力を貸してくれるでしょう…」
クーデターが起きたのに、それは無理だろう…