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シーダより、新人騎士訓練手伝い中






リョウジ達の隊の手伝いに加わって、大分日が立ちました。

とても厳しい訓練なのだけれど、みんな懸命に励んでいて、見ていてなんだか微笑ましくもあります。

立場上贔屓をしてはいけないのだけれど…どうか、この隊のみんなが騎士となれることをただ願います…





ルーク「なぁ…森ってのどかだよなぁ…」

リョウジ「そうだな」

シーダ「綺麗な景色ね〜」



今日も訓練のみんな。

行軍任務でアリティア領土内を回っています。

なんだか大分森の深いとこまで来てしまいました。




ルーク「こういうとこ歩いてると、癒されるよなぁ」

リョウジ「そうだな」

シーダ「この辺で食事取れば良かったかしら?」

ライアン「…そうですね…」



綺麗な景色に訓練を忘れて見とれるみんな。

でも…少し様子がおかしいような…




ルーク「なぁ ところで、俺達今、道に迷ってるよな?」



あら?



リョウジ「…」

ルーク「なぁ!傷だらけのリョウジ!お前がこっちが近道だって言ったよな!?言ったよな!?」




あらあら?

あらららら?




リョウジ「すまん…今まで黙っていたんだが…実は道に迷った」



あらー!?

なるほど…道に迷ってたのね…
道理で道なき道を行っていたようなのは気のせいじゃなかったのね。

リョウジってば意外とおちゃめな一面がある模様。




ルーク「なんだってー!?お前までそういうことするなよ!?俺ならともかく!」



何を言うの!

女としてはそういうギャップがいいんじゃない!

馬鹿が馬鹿をやってもただの馬鹿でしょ!




カタリナ「皆さん、喧嘩はダメです。こういう時こそ助け合わないと」

ロディ「そうだな。言い争っても仕方ない。それより帰り道を探そう。今日の行軍任務はアリティア城帰還することだ。
    何時までも迷ってはいられない」



第七小隊の頭脳派二人が場を諌める。

正直私がいれば、空から見えるのだけれど、模擬戦以外に手を貸すわけにいかないわ。




ルーク「他は俺達より先行してるだろうな。アリティア騎士がアリティアで迷子って、ジェイガン様に殺されるぞこれ…」




それ以上にマルス様の胃が心配だわ。




リョウジ「す、すまん…」

カタリナ「大丈夫です。これから夜通し行軍すれば、今からでも遅れを取り戻せ…あ!待ってください!あれ…!」

シーダ「…!?どうしたのカタリナ?」



カタリナが顔色を変え、奥を指差す。

向こうには確か村があったはずだけど…!?




ライアン「ど、どうしたんですか!?」

カタリナ「向こう!村が襲われています!」

シーダ「!?」


ならずもの「ギャハハハハ!奪えるものはみんな奪っちまえ!
       逃げる奴らも身ぐるみ剥いでそれからぶっ殺せ!ぎゃははは!」



慌てて確認すると、荒くれ者達が村を襲い略奪の限りを尽している。マルス様の領地でなんてこと…!


…!?あれは…?



ローロー「そうだそうだ、やれやれーウキキ。お前らが暴れれば、俺達の計画もうまく行く。ウキキ」



ならず者に混じって変な仮面の男が…あれが首領…?

それとも祭り?なにかの祭りなのかしら?

村が大変な事になってるように見えて、実は何かのお祭りだったりするの?



リョウジ「村が賊に…!野郎!我が主、マルス様の領地で好き勝手やりやがって!行くぞ!みんな!」

一同「了解!」



気合充分のリョウジ。

やっぱりお祭りではないようね。

早く…村を助けないと…!



カタリナ「…」




リョウジ「さて…とは言ったものの…どう攻めるかな…」

ロディ「奴らもこっちに気づいたようだ。随分調子にのっている。
    こちらにも襲いかかり、所持品を略奪するつもりのようだぞ」

リョウジ「となると…」

ルーク「いつも通りだな」



戦術はいつもと同じで、リョウジが壁をやる感じ。

頑張れ!男の子!

…私も出来るなら特技(勧誘)を生かして手伝ったりしたいのだけれど…
どれもこれも完全無欠の悪人みたいで隙がないわ…

騙されそ…オホン…人の話を聞きそうな人がいない。



リョウジ「オラー!!」

ならず者「ぐわ!!」



リョウジの力任せな攻撃で次々と倒れるならず者。

流石よ!リョウジ!正義の剣でならず者を成敗するのよ!



リョウジ「ハァハァ…!くそ…!」



あら…?なんかもう苦しそう…

攻撃力全般は高いのだけれど、守備力に不安があるのね…

…とはいえ、私を含めて総合的に彼より丈夫な人もいないのだけれど…





頑張って!リョウジ!!




カタリナ「L!O!V!E!LOVELOVE!リョウジ!頑張れ頑張れリョウジ!」

リョウジ「必ず生きて帰ってお前を犯す!」



元気に応援専門のカタリナ。

そうね、そうよね。それが女性としては、正しい位置というものよね。


私はなんとか出来ることを頑張ってみるわ!



シーダ「えい!!」

ならず者「ぐわっ!?」



やったわ!削った相手に速やかにトドメを入れてあげたわ!

でも、ハンターもいるので狙われないように注意しないと。

奥からもまだ来るし…

以前の戦争では、マルス様はほとんど一人で戦ってらしたっけ…

カッコ良すぎるわ…



リョウジ「ぜーはー…(傷薬塗りつつ) くそ… 一度間合いを取れ!攻撃を出来るだけ分散させろ!」

ロディ「リョウジ!君は一度下がれ!私とルークでなんとか抑える!」

ルーク「くそ!まずいぞこりゃ!」



なんということ!頼みの綱のリョウジも流石に旗色が悪くなってきたわ…

ならず者相手とはいえ、見習い騎士ばかりでは辛いというの…?


私?


私は花嫁修業でちょっと腕が鈍ってまして…



リョウジ「ちっ…このままじゃ誰かしらやばいぜ…」

カタリナ「もうちょっと他の人が使えればいいんですけど…」

リョウジ「お前も戦えよ!?」

ルーク「痴話喧嘩は後にしろー!?」



何を言うのルーク!

愛はいつだって世界を救うのよ!!

でもこのままじゃホントに…誰かが犠牲に…



ならず者「もらったぁー!!死ねやボンボン共ー!!(弓を引く)」

シーダ「…!? しまっ…!!」



え!?私!?

よりによって私!?

結婚間近の花嫁補正とかでそこはなんとかならないの!?

いやー!!マルス様ー!!



???「ファイヤぁー!!」

カタリナ「…!? 誰!?」



その時、木々の間から炎の呪文が放たれて、ならず者を焼いた。

危なかった…危うく婚約者の座を他の誰かに取られるとこだったわ…

マリアとかカチュアとか、私の夫はむやみにモテすぎる。

身分で言えば、次の候補はマリアとなるかしら…?

よもやチキって事はないわよね…一応竜の王女だし…


はっ!?そんな事より一体誰が…



マリク「やれやれだぜ…」



マリク!?

どうしてここに…騎士団の教官役でも頼まれたのかしら…

賢者から魔道士に戻ってるし…

ということは、あの極道マリクから、エクスカリバージャンキーに戻ったのかしら?



マリク「山賊か…マルス様が知ったら悲しまれるだろうぜ…やれやれ…」

リョウジ「あなたは…!?奴らの仲間ではないようだが…」

マリク「青色の髪…マルス様と同じ髪の色…てめーが隊長か?
    俺もてめー達に協力するぜ。指示を与えてな。俺はマリク、カダインの魔道士だ」

リョウジ「マリク…! もしかしてあの…!?」



「あの」マリクと言ったら、どっちのマリクなのでしょう。

どっちが良いかと言えば、極道マリクの方がかっこいいのだけれど。

これは…



マリク「…このマリクは…いわゆる不良魔道士のレッテルをはられている…
    ケンカの相手が乗った飛竜を必要以上にエクスカリバーでバラバラにし、
    落ちて地獄から帰ってこれねえ奴もいる…
    イバるだけで脳なしなんで、気合を入れてやった教官はもう2度とカダインへ来ねえ!
    だがこんな俺にも吐き気のする『悪』はわかる!!
    『悪』とはてめー自身の為だけに弱者を利用し、踏みつける奴の事だ!!ましてや村人をーっ!
    てめーらは俺が裁く!!」

リョウジ「…なんだこいつは…」

カタリナ「えっと…シーダ様?」

シーダ「…なにかまた別の方向に入ったみたい…」

ロディ「別の方向…?」

シーダ「いえ…極道賢者から、ジャンキー魔道士に戻ることによって、
    二つが合わさり新たなマリクに昇華したというべきかしら…」

リョウジ「なんだそれ…」

マリク「オラオラー!!裁くのは俺の魔道書だー!!」

ならず者「ぎゃあああああああ!?」

カタリナ「…なんにせよ強いからいいんじゃないですか…」

リョウジ「…だな」



というわけで、頼れるマリクの登場で、形勢は一気に逆転。

ある程度片付けたところで、回復。後はなだれ込んで敵首領を倒し、村を解放に成功。

マルス様!やりました!




マリク「…無事でよかったぜ…てめー達はアリティアの騎士か?」

リョウジ「ええ…まぁ…というかお知り合い多いのでは?」

シーダ「久しぶりね、マリク」

マリク「む…?シーダ様…?」

シーダ「新人騎士の訓練の手伝いしていたのよ。あなたもアリティア城に?」

マリク「ああ…騎士団の訓練を手伝う為に、アリティア城へ向かう途中、道に迷っちまって…やれやれだ」

カタリナ「あの、リョウジ…やっぱり風の魔道士マリクみたいですよ…
     前の戦争で、マルス様と一緒に戦った方です。き、緊張しますね」

リョウジ「えれー強かったしな…色んな意味で…」

マリク「というわけだ、情けねー話だが、良かったらアリティア城まで道案内してもらえねえか?」

リョウジ「み、道案内…?」



そう言えば迷子だったわ私達…

しょうがない、私が飛んでくるしか無いか…




―――――――――――――――――――――――――



ローロー「ウキキ。これで、まずまず計画通り。」

クライネ「ローロー」

ローロー「あり?クライネがいる。別の仕事があるんじゃなかった?」

クライネ「うるさいわねえ。あんなの、とっくに終わらせたわよ。あたしはお前達のようなグズとは違うの。
     お前もアイネもさっさと終わらせるのよ?簡単な仕事でしょう?」

ローロー「俺達仕事はきちんとする。計画通りにちゃんと…マルスを殺す」


―――――――――――――――――――――――――


その後、無事にアリティア城に帰還してこれた第七小隊のみんな。

私が空から案内したおかげだけど…カイン達には秘密にしておかなきゃ…



ルーク「やった…アリティア城だ…ようやく帰ってきたぜ…」

リョウジ「…」

カタリナ「? どうかしましたか?リョウジ?何か気になることでも?」

リョウジ「あのならず者達の中に、妙な仮面の男が混ざっていやがった。
     倒したならず者の中にはいなかったな…あれは何者だ?」

シーダ「…リョウジ、あなたも気づいたの?」

リョウジ「ではシーダ様も?」

シーダ「ええ…何か嫌な予感がするわ…」

カタリナ「…仮面の男ですか?すみません。私は何も気づきませんでした…
     でもならず者たちは倒したのですから、もう大丈夫ですよ、きっと。
     安心したらお腹すきました…リョウジ、行きましょう」

リョウジ「(カタリナの頭をつかんで茂みの方へ)」

カタリナ「いやー!!?」

シーダ「こらー!?止めなさーい!?」



―――――――――――――――――――――――――


マルス「それは大変だったね」

シーダ「はい。でもみんな強く成長しています。彼等のおかげです」


僕の傍で安堵の溜息をつくシーダ。

報告された内容には正直驚いたが、大惨事になる前に村人達を救出出来て良かった。

しかし、仮面の男か…気になるな…



マルス「うん 彼等にもお礼を言う為、今呼び出してるところだ」

リョウジ「失礼致します!」

マルス「どうぞ、入ってくれ」

リョウジ「第七従騎士小隊、隊長リョウジとカタリナ、ただいま参りました!お呼びでしょうかマルス様」



跪き、深々と礼を取るリョウジ。

他の人間に対してえらい違いである。

僕の何が彼という人間にここまでさせるのだろう。



マルス「ああ、そんなに緊張しないで楽にしてくれたら良いよ」

カタリナ「でもマルス様に呼び出されるなんて…山賊討伐の一件でしょうか?
     もしかして私達規則違反で罰を受けることに?」

マルス「いや、逆だよ。君達は民の為に賊と戦ってくれた。民を守るべき者として君達には感謝している。」

カタリナ「じゃあこれまでどおり、訓練を受けられるんですね。ほっ…」



まぁ 正直 君何もしてなかったみたいだけどね。

リョウジと調子が合うらしいから、コンディションとかそういう意味で役に立ってるのかも知れないけど。

とりあえずこの子の力も認めた前提で話を進めよう。



マルス「リョウジ、それにカタリナ…君達の能力、ジェイガンからは非常に優れていると聞いている」

リョウジ「そうなのですか?ジェイガン様からは毎日叱られてばかりですし…
     (カタリナ見)…こいつ何もやってないような気が…」

カタリナ「もうリョウジったら熱い視線。や・け・ど・し・ちゃ・う☆」



やかましい。



マルス「…僕も君達の戦いを見せてもらって、同じ事を感じた。君達二人はアリティア軍に適した戦術の才がある。
    もし君達が試験を突破し、騎士になれたら、君達二人には僕の近衛騎士になってもらいたいと思っている」

リョウジ「近衛騎士?」

マルス「僕は民達から英雄と祭り上げられているけど、それは事実じゃない。僕一人に出来ることなんて僅かだ。
    それは僕自身がわかっている。前の戦争での勝利は、僕と同じ志を持ってくれるバー…仲間がいたから
    出来た事だ。だから僕は平時でも戦場でも僕を支え、正してくれる若い近衛が欲しいと思っていた。」

リョウジ「ですが、近衛騎士は常に国王と共にあり、その身をお守りする重要な役職…
     そのような大役が俺達に務まるでしょうか…」

マルス「ああ、僕は君達にそうあって欲しいと望んでいる。ジェイガンも君達を推している。
     それに…甘いことを言うけれど、君達は悪い人じゃないと思っている。だからお願いするんだ。
     返事は今すぐでなくてかまわない。考えてみてくれないかな?」

リョウジ「マルス様…」



跪き、感動に打ち震えるリョウジ。

正直カタリナは微妙だけれど、この男は信頼の置ける実力の持ち主だ。…品性以外。

と、そこへ…



マリク「失礼するぜ(バターン)」

シーダ「あら!?マリク!?」

マルス「あ!?マリク!?どうしたんだい!?」

マリク「いや…マルス様に認められたっつー第七小隊の隊長…リョウジって男をもう一度よく見ておこうと思ってな…」

マルス「…えーと相変わらずの極道マリク…?なんかちょっと違うような気も…」

シーダ「はい…ベクトルは同じようなものなんですが…同じようで別人と言いますか…」

マリク「さっきは世話になったな…俺の主の領地を守ってくれて感謝するぜ。
    しかしまぁこのアリティア領地内で略奪とはな…やれやれだぜ…」

リョウジ「いえ、こちらこそご助力感謝します。風の魔道士マリク殿」

マリク「その呼び方は止めてくれ。俺には似合わねえからな」


そうだね。

今の君には全くもってそうだね。


マリク「さて…そんなわけでこれから俺もてめーらの訓練を手伝わせてもらうぜ。
    誰一人リタイアしねーようにしねーとな?」

カタリナ「マリクさんも手伝ってくれるんですか!?これでますます戦力アップですね!」



これでますます訓練になりませんね。



リョウジ「あまり頼り過ぎもどうかと思うが…ご助力かたじけなく思います。よろしくマリク殿」

マリク「ふ やれやれだぜ」



やれやれとか言うなら、助けるんじゃないよ…




 


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